百合子の秘め事－拓也の浮気
彼氏とのエッチであまり気持ちよくなれないことで、私は「このままでいいのかな……」「もしかして不感症なのかな……」というもやもやとした気持ちを抱えていました。
そんなある日、友人の夏美とカフェでお茶を飲んでいた時のことです。
「あっ、百合子ちゃん……」
偶然、サークルの先輩である聡子さんたちがお店に入ってきました。
この辺にお洒落なお店はいくつもあるのに、示し合わせないでバッタリ会うとは奇遇です。
ですが、聡子さんたちは私の顔を見て、ちょっと気まずそうな様子になりました。
何かあったのかな？
私はちょっと不安になってしまいます。
「どうしたんですか？」
あまり不安な気持ちを見せないようにしながら、私は聞いてみました。
「それがね……」
と顔を見合わせる聡子さんたち。
「やっぱり言っておいた方がいいよ」
という聡子さんに、他の先輩が「でも……」と顔を曇らせます。
そんな風にされたら、気になって仕方ありません。
「私のことだったら、遠慮なく話してください」
「そういうことなら……」
私の顔を窺いながら、聡子さんは切り出します。
「あ、でもここじゃちょっとしにくい話だから、お手洗いでいい？」
聡子さんに付いてお手洗いに行くと、彼女はとても深刻そうな顔でこう言いました。
「百合子ちゃん、これから話すこと……ショックだと思うけど、よく聞いてね」
どうしたんだろう。先輩がこんな風に話すなんて、聞いたことがありません。
次に彼女が話したことは、確かにとてもショックなことでした。
「拓也君のことなんだけど、いま百合子ちゃんとは別の女の子とも付き合ってるの」
一瞬、聡子さんが何を言ったのか分かりませんでした。
拓也が？
他の女の子と？
思考が止まって、何も考えられません。
最近、バイトや就活の準備やらという話で、確かに会える頻度は減っていたものの、機能だって一緒に過ごしたのに。
そして、おかしいと思うような素振りもありませんでした。
とても優しくて誠実な拓也。
それは、私の前で演じていた偽りの姿だったのでしょうか？
拓也が浮気をしていたなんて到底信じられず、私はただ立ち尽くしていました。
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